(法人向け)【2026年版】病院・クリニック・介護施設等の大規模修繕に活用できる補助金や助成金

2026年、医療・福祉業界はエネルギー価格の高騰と人件費の増大という、経営を揺るがす二重苦に直面しています。
特に24時間稼働が前提となる病院や介護施設において、老朽化した外壁や空調設備によるエネルギーロスは、看過できないコスト増の要因です。
こうした背景から、政府はカーボンニュートラルの実現に向け、病院やクリニックの省エネ改修を強力に支援する方針を継続・拡充しています。
省エネ改修は単なる「コスト削減」に留まらず、災害時の「BCP(事業継続計画)対策」や、脱炭素社会への適応による「法人価値の向上」を同時に実現する重要な経営戦略です。
本記事では、2026年度に活用可能な補助金制度を網羅し、「どの改修が対象か」「いくら補助されるのか」「申請の最適期はいつか」を経営者・責任者の視点で分かりやすく解説します。
戦略的な設備投資の第一歩として、ぜひご活用ください。
目次
1.2026年も法人向け「省エネ補助金」は活用できる?

近年のエネルギー価格の高騰が、医療・福祉現場の収益を圧迫している要因の一つになっています。
2026年も引き続き、国を挙げた省エネ推進施策が打ち出されています。
⑴カーボンニュートラル政策の継続
国は「2050年カーボンニュートラル」を掲げており、住宅・建築物の省エネ化は重要な課題です。
特に24時間稼働し、エネルギー消費量の多い病院や介護施設などは、この政策の重点対象といえます。
⑵中小企業・事業者向け支援の強化
中小規模病院や個人クリニック、介護事業所に対しては、大規模法人よりも高い補助率が適用される傾向にあります。
これは、資金力の差を埋め、業界全体で環境負荷を低減させる狙いです。
⑶対象となる主な建物
対象となるのは、一般病院やクリニックはもちろん、特別擁護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービス等の福祉施設、調剤薬局を含む医療関連の事務所が挙げられます。
- 一般病院・クリニック(有床・無床問わず)
- 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設
- デイサービスセンター等の福祉施設
- 調剤薬局や医療関連の事務所
2.【2026年版】病院・クリニック・事業所で使える主な省エネ補助金一覧

2026年度に活用が期待される、主な補助金制度をご紹介します。
⑴省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業(省エネ補助金)
工場や事業所(病院含む)の省エネ設備への更新を支援する、最も代表的な補助金です。
工場・事業場全体の省エネ枠の他に、空調や給湯設備、照明など設備単位での申請も可能です。
⑵断熱による脱炭素化促進事業(SHIFT事業)
工場・事業場における脱炭素化(CO2削減)を目的とした事業です。
高機能換気設備や断熱改修を組み合わせた抜本的な改修に向いているものです。
⑶業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ)
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を目指す改修など、建物全体のエネルギー消費を大幅に削減するプロジェクトが対象となります。
ZEBは、建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指すものであり、創エネ(創るエネルギー)も加えることで全体消費量を削減することを指します。
3.【地域限定】福島県・いわき市の事業者向け、自治体独自の補助金

ここでは、福島県・いわき市の事業者向け、自治体独自の補助金についてご紹介します。
⑴【いわき市】都市機能誘導施設等整備促進事業
いわき市が策定する「立地適正化計画」に基づき、市街地における医療・福祉施設の維持・活性化を目的とした支援制度です。
老朽化した病院やクリニック等の大規模改修などに活用できます。
ポイントは「都市機能誘導区域」に該当しているかという点です。
⑵【いわき市】中小企業等経営コスト削減支援事業費補助金
中小企業向けに、各地方自治体や国の「ものづくり補助金」の一部枠として設定されるケースがあります。
特に医療法人や社会福祉法人は対象となるかどうかは、確認が重要です。
中小企業である制限として、施設床面積や従業員数などの要件がありますので、併せてチェックしておきましょう。
⑶【福島県】医療分野の生産性向上・職場環境整備等事業
医療従事者の不足や働き方改革が喫緊の課題となる中、福島県独自で実施されている「働く環境を整えるため」の事業です。
省エネはもちろんですが、業務効率化など働く環境に直結する設備導入に関して支援するのがポイントです。
従業員の休憩室の改修などが挙げられます。
⑷【福島県】中小企業等エネルギーコスト削減支援事業補助金
エネルギー価格高騰により影響を受けている県内の中小企業等が実施する省エネルギー効果の高い設備への更新を支援するための事業です。
エネルギー価格高騰に耐え得る足腰の強い中小企業等への変革を促進し、地域経済の持続的成長の実現を図ります。
都道府県や市町村などの自治体の補助金制度においては、補助金特設サイトが開設されてから、申請額が予算額に達し応募申請の受付を終了するまでがとても短いことがあるため、注意が必要です。
たとえば、福島県の「エネルギーコスト削減支援事業補助金」は、例年3月に公募開始の準備が整い、4月の受付開始後すぐに予算が枯渇するという超短期決戦の傾向があります。
令和8年度予算においても、県による継続的な支援方針が示されています。
公募が始まってから見積もりを依頼していては間に合わない可能性があるため、2月・3月中の事前相談と見積準備を検討しましょう。
4.どんな改修工事が補助対象?補助額はいくら?

補助金は、単に「古くなったから直す(原状回復)」という理由だけでは受給できません。
「省エネ性能の向上」や「環境負荷の低減」が条件となることがほとんどです。
具体的にどのような工事が対象になるのかご紹介します。
⑴設備更新(医療・業務施設共通)
日常的に使う設備の運用コストを削減するための改修工事が対象です。
業務用エアコン
10~15年以上前のモデルを最新のインバーター機へ更新することで、電気代の大幅な削減が見込めます。
LED照明
既存の蛍光灯からLEDへ一新することで、消費電力を半分以下に抑えられます。
給湯・ボイラー
病院や特養での入浴・洗浄に欠かせない給湯設備を、高効率なヒートポンプ式等へ更新します。
換気設備
窓を開けずに効率よく空気を入れ替えられる高機能換気(全熱交換器等)の導入は、空調効率も高めます。
清浄機能付きの場合は、感染対策にも有効です。
⑵建物改修(省エネ断熱改修、老朽化対策、耐震)
建物そのものの断熱性能を強化し、「魔法瓶効果」を高める工事が対象です。
外壁・屋根の断熱、塗装
一定の性能を確保した断熱施工や、特殊な遮熱塗料を使用することで、夏の屋根温度上昇を抑え、冷房効率を改善します。
窓の断熱
内窓の設置やガラス交換、サッシ窓の取り換えなど、窓まわりの断熱性能を強化することで、外気温は室内に伝わりにくく、冬は暖められた空気を、夏は冷やされた空気が逃げにくい環境を整え、冷暖房費の削減に貢献します。
⑶補助事業ごとの補助対象と補助率・補助上限の目安
過去の実績に基づく2026年度の想定値です。
詳細は、公募要領をご確認いただくことをおすすめします。
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業
| 対象事業 | 業務用エアコン、LED照明、高効率ボイラー、換気設備等の更新 |
| 補助率 | 1/3~1/2 |
| 補助上限額 | 15億円 |
断熱による脱炭素化促進事業
| 対象事業 | 外壁・屋根の断熱改修、高機能換気、CO2削減設備の導入 |
| 補助率 | 1/3 |
| 補助上限額 | 5億円 |
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業
| 対象事業 | 窓・外壁の断熱、空調、BEMS導入等による建物全体の省エネ化 |
| 補助率 | 1/3~1/2 |
| 補助上限額 | 3億円 |
【いわき市】都市機能誘導施設等整備促進事業
| 対象事業 | 業務用エアコン、LED照明、高効率ボイラー、換気設備等の更新 |
| 補助率 | 1/3 |
| 補助上限額 | 5,000万円(新規立地の場合 1億円) |
【いわき市】中小企業等経営コスト削減支援事業費補助金
| 対象事業 | 省エネ機器(LED照明、空調設備、冷蔵庫・冷凍庫、機械設備、特殊車両等)の更新 |
| 補助率 | 1/2 |
| 補助上限額 | 75万円 |
【福島県】医療分野の生産性向上・職場環境整
| 対象事業 | 業務効率化に資するICT機器、機械装置(タブレット、離床センサー等) |
| 補助率 | 定額 |
| 補助上限額 | 許可病床数×4万円(4床以下および無床の場合 1施設×18万円) |
【福島県】中小企業等エネルギーコスト削減支援事業補助金
| 対象事業 | エネルギー消費量が既存機器と比較し規定より減少する省エネ機器((LED照明、空調設備、冷蔵庫・冷凍庫、機械設備、特殊車両等)への更新 |
| 補助率 | 2/3以内 |
| 補助上限額 | 300万円(下限額20万円) |
5.申請スケジュールと基本的な流れ(2026年の想定)

補助金制度には、「後出し申請」が認められないという厳格なルールがあります。
思い立ってすぐに工事を始めてしまうと1円も受け取れなくなるリスクがあるため、年間の流れを把握しておくことが大切です。
①事前準備
まずは現状のエネルギー消費量を把握し、どの設備を更新すべきか優先順位をつけます。
また、補助金申請に必要な「省エネ計算」のための図面整理も行います。
②公募開始
多くの補助金が新年度の予算成立に合わせて公募を開始します。
この期間内に、詳細な見積書と計画書を提出しなければなりません。
③審査・交付決定
提出した書類が審査され、「交付決定」の通知が届きます。
ここで初めて、工事業者との正式な契約や着工が可能になります。
④工事・実績報告
工事完了後、施工前後の写真や支払い証明(領収書等)をまとめ、完了報告書を提出します。
⑤補助金振込
報告内容に不備がなければ、完了から数ヶ月後に指定の口座へ入金されます。
6.病院・クリニック・事業所の補助金申請で失敗しないための「3つの重要ポイント」

補助金の申請は専門性が高く、ハードルが高く感じられるかもしれません。
しかし、以下の3つのポイントを押さえることで、スムーズに進めることができます。
⑴補助金対象工事を確認
ただ単に「高性能なエアコンを選べばいい」というわけではありません。
各補助金制度には、導入する製品が「対象型番」に含まれている必要があります。
また、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)などの外部認証が必要になるケースもあるため、製品選びの段階でプロのアドバイスを受けることが不可欠です。
⑵スケジュール管理(公募期間と着工日)を徹底
補助金の最も多い失敗は、スケジュールのミスです。
「壊れたから今すぐ修理したい」という緊急のケースでは、補助金の交付決定まで数ヶ月待つことが難しい場合があります。
そのため、故障してから考えるのではなく、老朽化が進んでいる設備については、補助金の公募時期に合わせて計画的に更新を検討することが重要です。
⑶実績豊富なパートナー(施工業者)選び
補助金申請には、非常に煩雑な事務作業が伴います。
書類やスケジュールの不備なく進めるには、実績豊富なパートナーを選ぶことが確実な補助金獲得のために重要です。
7.よくある質問

Q1. 病院・クリニックでも省エネ補助金は使えますか?
はい、病院・クリニックでも省エネ補助金を活用できるケースは多くあります。
医療機関は空調・照明・給湯・換気設備などの稼働時間が長く、エネルギー消費量が多いため、国の省エネ政策においても優先度の高い施設区分とされています。
特に、高効率業務用エアコン、LED照明、給湯・ボイラー設備、断熱・遮熱改修などは、病院・クリニックでも補助対象になりやすい代表例です。
医療法人だけでなく、個人開業の診療所・歯科医院も対象になることがあります。
Q2.外壁塗装も補助金の対象になりますか?
令和8年度は、外壁塗装単独での補助金制度はありません。
空調設備更新などの設備改修と組み合わせることで補助工事として認められる可能性があります。
また、採択された断熱改修工事などの足場を共通で活用することにより、外壁塗装工事にかかる費用を間接的に軽減できることがあります。
Q3.医療法人と個人開業医で補助金の条件は違いますか?
制度によって条件が異なる場合があります。
一般的には、医療法人は法人向け補助金の対象、個人開業医は中小事業者・個人事業主向け補助金の対象となるケースが多く、補助率や補助上限額が変わることがあります。
ただし、どちらも国内で事業を行っている実際に診療を行っている建物であれば対象になる制度が多いため、「法人か個人か」だけで諦める必要はありません。
Q4.国の省エネ補助金と自治体の補助金は併用できますか?
併用できる場合とできない場合があります。
国の補助金と、都道府県・市区町村の独自補助金を別枠で併用できるケースも実際に存在します。
ただし、同一工事に対する二重補助は禁止であり、併用不可と明記されている制度もあるため、必ず事前確認が必要です。
補助金に詳しい施工会社や専門家に相談することで、最も有利な組み合わせを検討できます。
Q5.補助金の申請は誰が行いますか?
申請主体は、原則として病院・クリニック・事業所の運営者(法人・事業者)です。
ただし実務上は、施工会社が申請書類作成、省エネ効果の算出、実績報告などをサポートするケースが一般的です。
補助金は書類不備による不採択もあるため、省エネ補助金の申請実績がある業者を選ぶことが成功のポイントです。
8.まとめ

2026年度は、病院やクリニックにとって「補助金を活用した建物リニューアル」の絶好のタイミングとなります。
省エネ改修は、単なるコスト削減(支出の抑制)だけでなく、患者様やスタッフの快適性向上、そして「地域社会の脱炭素化に貢献する施設」としての信頼獲得(SDGsへの取り組み)にも直結します。
補助金は、予算に達し次第締め切られますので、早めの情報収集が不可欠です。
「自社でどの補助金が使えるか知りたい」「概算の見積もりを出してほしい」といったご要望はございませんか?
まずは専門スタッフによる現地調査・省エネ診断から、お気軽にご相談ください。
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